srtist consultants WEB 2006.10 津川晨(つがわしん)

[2006.10]
「2006年10月号をお届けします」


イベント情報2006年10月号をお届けします。このページでは3ヶ月(10-12月)のArtist Consultantsが共感しているArtistの活動予定を掲載しています。

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津川晨(つがわしん)という人を知っていますか。
書を中心とした美術全般の評論活動をされていた津川晨先生が昨年2005年亡くなられたことをある書家のブログで知りました。津川先生は私が学校や大学の「先生」以外で先生と呼べる唯一の方でした。1987から1989にかけて、毎晩弟子として先生の自宅に通い、多くのことを学びました。最後はあまりの出来の悪さに首になったようなものですが、それでも先生から学んだことは私の基盤のひとつになっているのは確かです。

あらゆる意味で非常に厳しく、口先のお世辞を言わない方でしたが、その先生に、亡くなる1月前に、「まだ若いのだから、頑張れよ。」と声を掛けられたという書家が、私と先生を再び繋ぐ役割を果たしてくれました。

先生は北大を卒業後、「話の特集」や「一枚の絵」の出版・編集に関わり、その後「書の十二季」という雑誌を編集されていました。その次元の高い取り組みは、古い体質を残す「書」の世界の中で、異質であると同時に、高い評価を受けていました。先生はまたデザイナーであり、写真家でもありました。私が先生に出会ったのは、事情で「書の十二季」が休刊になった直後でした。

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ブログの書家である吉永益美氏に会い、その先生である大石千世先生を紹介してもらうために9月16日静岡の県立美術館で「千世の会」に出かけました。書道展は私の記憶では(ピアノの発表会と同じで)退屈なものが多い(はずな)のですが、「千世の会」は非常に印象的な作品がいくつもあり、明るく、活動的な印象を受けました。静岡という場所を考えると、これは真に特出すべき事のように思います。津川先生が「毎年必ず来ていた」という書道展であることも納得できるものでした。

それよりまず、書の良し悪しが本質的に美術作品の良し悪しと変わらないことに驚きました。「意味(ことば)のある抽象画」として書を見たとき、作品の出来、不出来は明らかであり、それは書の世界の中での評価ともそれほどずれていないように思います。(音楽の世界で学閥がコンクールの結果を左右するのと同程度の、派閥による評価のぶれはあるようではありますが。)

吉永さんと話をしながら感じたのは、「流れと勢い」の大切さであり、作品が一瞬の真剣勝負の連続であることは一般の美術よりむしろ音楽に近いもののように思います。偶然の美を強調する現代美術のある分野とも近いのかもしれませんが、その一瞬のために絶え間ない練習を続ける姿はむしろ音楽家に近いでしょう。それでも作品はあくまでビジュアルなものであり、鑑賞者はゆっくり時間をかけてその一瞬の成果を堪能できるのですから、そこが音楽と異なるところであり、ちょうど一般美術とクラシック音楽の中間のような存在であるように思います。とても面白い分野であるかもしれません。

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津川先生は昨年10月仕事先のホテルで朝亡くなられているのが発見されたと伺いました。身寄りがなく、遠い親戚が引き取りに来て、葬儀も行われなかったようです。その話を聞いたとき、非常に悲しく辛いものを感じましたが、少し落ち着いた今は「先生らしい最期」なのかもしれないと思っています。

先生はいくつかの分野で非常に核心的な仕事をなされており、先生に関わった方々も多いと思います。このままでは先生の業績や思想は、かかわったそれぞれの心の中に埋もれてしまうでしょう。私に出来ることを考えていきたいと思います。とりあえず今は私の中の先生を整理することであり、そのためにブログと掲示板を作りました。先生のことをご存知の方がいらっしゃいましたら是非書き込みをお願いします。

私にとっては先生の「忘れ形見」のような存在になった吉永さんですが、非常に繊細であるにもかかわらず、力と意思を感じるクリアな線が印象的な作品を書かれる方でした。(私もうそがつけない性質なので、今回のようなケースの場合、彼女の作品に本音で好感を持てることは救いです。)彼女は書の世界でもそれなりの評価を受けているように思います。今年の「千世の会」でも彼女の作品が会員賞を受賞したようです。今後の活躍を期待します。


・artist consultants 津川晨(つがわしん)先生のページ http://artist-consul.visithp.com/artist/tsugawa/
      ブログ         http://about-stugawa.at.webry.info/
      掲示板(bbs)    http://artist-consul.visithp.com/artist/tsugawa/tsugawa_bbs/joyful.cgi

*書家 吉永益美さんのブログ http://blog.livedoor.jp/hiou/

2006年10月

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